愛のうた。
シュンは死んでさえいなければ、
楽しい人生があった。

私より美人で優しい女の人が隣にいて、
かわいい子供がいて、
毎日笑顔で。

それを私が壊した。



あの日、デートなんしなければ。
時計台で待ち合わせなんかしなけらば。
シュンは生きてた。



私が、シュンを……




死なせたんだ。





そう思うと私は立ち上がった。
そして目の前のフェンスをよじ登る。
風と鼓動の音しか聞こえない。
ここから飛び降りさえすれば、
シュンに逢えるよね?

シュン…やっと逢えるよ。


握り締めた手すりを離そうとしたとき。





「何やってんだよ、沙知ちゃんっ!!!!」



私が振り返ると息を切らしたノゾム君がいた。



「探しても居ないと思ったら、
こんなとこに…
飛び降りる気か!?」


「ノゾム君に…私の気持ちなんかわかんないよ!」


ノゾム君は必死に私を止めようと
フェンスによじ登る。


だめ。ノゾム君まで死んじゃう…。




「やめて、離してよ!
私のせいでシュンが死んだの…
私が、殺した。
…償わなきゃ、逢いたいの!!」

「お前…そんなんでアイツ喜ぶか!?
幸せだって思ってんのか!?
アイツ…最後まで頑張ったんだ。
沙知ちゃんのために必死で生きたんだよ。
だから、アイツのためにも生きろよ!
…生きて、生きて、生きまくれよ!!」




ポタ…



涙が、あふれた。




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