愛のうた。
―12月25日

今日はシュンの命日。
私はお墓にやってきた。
クリスマス。笑顔が溢れる日。
だけど…この日だけは…。



【澤俊太郎 享年18歳】

この文字を見る度辛くなる。
あの日に心が戻ってしまう。

私もまだまだ子供だなぁ…。


でも泣いたらシュンが心配しちゃうよ。
だから、私は泣かない。




「シュン、元気?」
私はお墓に花を添える。

「あれ…沙知?」

後ろから私を呼ぶ声がし、
振り返ると…



「ナナ、ノゾム君」




ナナとノゾム君は3年前に結婚した。
ノゾム君の腕には3歳になる
愛娘の裕翔(ユウカ)ちゃん。


容姿はノゾム君そっくりで、
性格はナナ似。


何度か会って私にもすっかりなついて
とても可愛い。


二人ともパパ、ママになったね。





「久しぶり、元気だった??」

「うん。裕翔の面倒大変だよ~
でもね、今妊娠3ヶ月」

そういうとお腹をさする、ナナ。



「そうなの!?おめでと~」

「沙知ちゃんは先生どう?」

「ぼちぼち頑張ってるよ~」




ノゾム君、雰囲気変わったな。
明るい髪色も黒になって、
ピアスも外されて、

毎日サラリーマンとして頑張ってる。



この人がいなければ私は生きてなかった。



精神が安定してない私を何度も助けてくれた。
ナナの彼氏だったのに、
私のことたくさん考えてくれた。


そのせいで一時期ギクシャクしてしまったけど、
ノゾム君の助けがあって今の私が存在してるの。



ほんとに、ありがとう。










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