愛のうた。
やば!もう皆、席についてる!!

「澤、水川、遅いぞ!!」

「すいませんでした・・・」


とっくのとうにナナやノゾム君、ユキ、ヨウタは席についていて私たちは遅刻をしてしまった。


ナナとノゾム君とユキは名前順が近くて同じ班。


私は中田君などと同じ班で、向かいの班はシュンだった。



つまらない生物についての授業。

窓から見える青空を見てボーっとしている私に、向かいのシュンが私の耳元で囁いた。



「お前、次当てられるぞ」

「へ?」


気がつかないうちに答えが私に回ってきてる。

ヤバイ。話聞いてない・・・


「じゃあこの答えは・・・水川!」

うっわぁ、どうしよう!


焦って言葉が出ない私に先生やクラスメートの視線が集まる。


「水川、分からないのか?この前やったじゃないか」

「え、えぇ~と・・・」


恥かしくて顔が赤面状態。


「○○○だろ」

シュンの小さな囁き声が耳に届く。


その通り、「○○○」と答えてみる。


「正解」

ふ、ふ~。良かったぁ・・・


「シュン、ありがとう!助かったよ~」

「別に?・・・お前、本当にバカだな」

もしかしてまださっきの事、根にもっていらっしゃる??


「ひどっ!私バカじゃないし」

その声はちょうど静まり返った生物室中に届いてしまった。



「澤、水川!静かにしろー」

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