愛のうた。
-沙知side-

「ただいま・・・」

「お姉ちゃん、お帰り。あれ?元気ないね、どうかした?」

「別に・・・」


私はすぐ部屋に戻り、カーテンを閉めた。


今日もシュンと帰れなかった。

もう、アピールなんて無駄。


私はシャワーを浴びた。

このモヤモヤを流せるかなぁって思って。

シャワーからあがり、髪を乾かす。


鏡越しに見える自分が情けない。

なんでこんな事になっちゃったんだろ。


自分の部屋に戻ると、勉強を始める。

でも頭に浮かぶのはシュンだけ。

イライラして勉強がはかどるはずもなく・・・


「あ~もうっ!!」

机をバンッと叩く。

手の平がジンジンする。

この手の平のように、心も痛い。


そんな時だった。


隣のシュンの部屋から甲高い女の声が聞こえた。

恋花ちゃん??

そう思い、机の上の教科書を片づける。


ちょっと待って。

恋花ちゃんってこんなに声高くない。高笑いもいない。

この声・・・聞いた気がする。


林間学校で、

店裏で、

シュンと言いあっていた、


「ハルカ!?」

ハルカが脳裏に浮かび、私は慌ててカーテンを少し開けてシュンの部屋を見る。

予想は的中だった。


「嘘、でしょ?・・・」

見えた光景に思わず息をのむ。

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