愛のうた。
だってシュンの部屋にいたのは・・・

シュンと楽しそうに会話をしている、ハルカだったから。


胸に銃弾が撃ち込まれたかのような衝撃だった。

頭の中が真っ白になる。

不安は当たっていた。


こんな地味で、チビで可愛くもないなんのとりえのない私より、

美人でシュンと釣り合っているハルカの方がいいもんね。


私の心を支配する怒りと嫉妬。


「ふっ・・・ふぇ」

涙が床を濡らす。

こんなの嫌だよ。


シュンの彼女は私なのに、

シュンが好きでいてくれたのは私なのに、


・・・・・・なんでハルカなの?


こんな光景を目の当たりにして私はまだシュンを求めている。

それくらい好きなの。


友達として会ってるんだとか、ただ家に用事があっただけなんだ、とか
良い方に考えても涙が止まらなくて、


シュンが好きなのに、大好きなのに、なんで気持ちが届かないの?


原因は私なの?


そう思えば思うほど涙が止めどなく溢れてくる。

窓の先では雨がポツポツ降っている。

やがてその雨は大ぶりになってゆく。

まるで、私の心のように。

誰も傘なんかさしてくれない。


「雨、酷くなっちゃった。もう帰らないと、また来るね」

「濡れたら風邪ひく。傘貸してやる、信号まで送るから」

「ありがとう、俊太郎は優しいね」

ハルカがシュンの部屋を出る瞬間、目があったような気がした。



ハルカの優越感に満ちた顔。

その顔に体が震える。


もう、私の心は崩れかけそうで、

なぜ運命とはこんなに残酷なのだろうか?


私はただうずくまり、泣きじゃくっていた。
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