愛のうた。
楽しい時間が過ぎていき、パーティはお開きの時間になってしまった。

「あ~楽しかったね、沙知。じゃあ、私とヨウはこっちだからバイバイ!」

「うん」

ユキとヨウタは仲良く手を繋ぎ、帰って行った。

振り返ると、シュンは先に進んでいる。


・・・待ってもくれないの?

・・・手すら繋いでもくれないの?


いつもは握ってくれるのに、

私の小さな手をシュンの大きな手が握ってくれるのに、

私なんかといるより、ハルカとメールしてる方が楽しいの?


流れそうな涙を必死にこらえて家に帰った。



次の日、冬休みなのに学校行き。

何故かというと、冬休み前のテストで点数が大幅に下がった人達の補習だから。


「水川。お前はいつも平均点以上だったよな?何故こんなに下がった」

先生が私に問い出す。


多分、原因はシュンとの事だと思う。

授業に身が入らないほどショックだったから。


でもそんな事言えるはずもなく、

「ただの勉強不足です」と答えた。


空いてる席に座ろうとしたら、シュンがいた。

シュンは頭が良いはずなのに。

シュンもテストの点が下がったのかな?


隣を見ると、予想通りハルカが座っていた。

「ねぇ~俊太郎~」

わざとハルカが大きな声を出す。


私は何も抵抗しなかった。

私が抵抗したところで、ただの無駄。

どうせ、私にハルカに勝るものなど1つもないんだから。


授業中、ふと2人を見ると、仲良く会話をしている。

「俊太郎~教えてぇ?」

「お前、さっきまで教えてたのにもう忘れたわけ?バカだなぁ・・・」

「あたしバカじゃないもん!」


ーお前、本当にバカだな

ー私バカじゃないし!


いつかのシュンとの会話に重なる。

嫌なのに、視界に入る。

嫌なのに、声が聞こえる。


どうしてこんなになってしまったの?

いつから歯車は狂いだしたの?


私は一人、唇を噛み締めた。


「ちゃんと覚えたか?休み明けにテストやるから、各自勉強しとくように」

こんなんで覚えられるわけないじゃん。


授業が終わると、真っ先にトイレに駆け込む。

「・・・っなんでぇ・・・・・・なんでよぉ!!」




< 83 / 272 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop