愛のうた。
溢れる涙を拭ってくれる人なんかいない。


ハルカが憎いんじゃない。

シュンが憎いんじゃない。


こんな惨めに泣いている自分自身が憎いんです。



でも怒ってくれる人なんかいない。

だからこそ自分を追い詰めてしまう。


トイレの窓から見える桜の木は枯れてしまっていて、

春には綺麗な花が咲くのに。

夏は青々しい葉が風で揺れるのに。


私の恋も桜の木のように散ってしまったの??


もう、何もかもが狂ってしまったんだ。

あの日の頃にはもう、戻れない・・・


しばらくトイレで泣いて、目の赤みがおさまった頃、私はトイレから出た。


すると廊下にはシュンがいて、偶然にも視線があってしまった。

ハルカは隣にいない。


「・・・シュン」

「沙知・・・」


シュンが目を細める。
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