愛のうた。
沙知が隣に居るはずもなく、一人で帰宅する。

そして真っ先に洗面所に向かう。



告白した時と正反対の姿で沙知に別れを告げようと、髪を赤茶に染め直す。

金には出来なかった。

分かってくれ。これが俺の弱さだ。


耳に3つのピアスをつけ、俺は外に出た。


“もう沙知と別れるんだ”

そう自分に言い聞かせただ沙知を待った。


数分後、曲がり角から沙知が現れ、家の方へ向かってくる。


「シュン・・・?」

沙知は俺を見るなり、動揺している。


沙知、ごめん。

「どうしたの、その髪・・・ピアス」

俺はうつむく。

そして強引に沙知の手を引っ張る。


「痛ッ・・・やめてよ!シュン」

俺は無理矢理チェリー公園前へ行かせた。


「いいから、ついてこい!!」

俺は強く怒鳴りつけた。


沙知は震えて怯えている。

言いたくない、・・・でも言わないといけない。


沙知を守るために、

これ以上傷つけないために、


俺は息を吸う。

そして・・・




「沙知、別れよう」
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