Sugar × Spice 〜カレは年下幼馴染〜
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「お母さん、パン焼けたよー」
「はいはーい」
マグカップにコーヒーを注ぎ、キッチンからお母さんを呼ぶ。
お母さんはイヤリングを付けながら、慌ただしく入ってきた。
「お母さん今日遅くなるから、夜よろしくね」
「はいはい、ムリしないでね」
「美菜子は?まだ起きてないの?」
「お姉ちゃんは…」
「きゃーーーーーーー!!」
その時、ものすごい絶叫と共に階段からかけ落ちる音が家中に鳴り響いた。
いつものことに、私はやれやれとため息をつきながらダイニングを出て階段に向かう。
階段の下では、パジャマ姿のお姉ちゃんが顔をしかめて尻もちをついていた。
「いたたた……あ、咲。おはよー」
「おはよ…って、ちょっと大丈夫?」
「へーき、へーき」
「お姉ちゃん今日休みでしょ?どうしたの、こんな早く起きて」
「あっ、そっかぁ、私お休みだったんだ。寝坊だって慌てちゃったよ」
えへへと笑う姉を見て、私は小さくため息をついた。
「じゃ、お母さん先行くから!
咲、あとは頼んだわよ」
「行ってらっしゃい」
お母さんがバタバタと私たちの横を通って、玄関を出てって行った。
「いってらっしゃーい」
姉ものん気に母の背中を見送る。
「私ももう行くけど、お姉ちゃん夜はいる?」
「あ、私今日出かけるけど、ご飯作っとくよ」
「大丈夫?」
「まかせて!」
今夜はまたカレーか。
姉はそれしか作れない。