Sugar × Spice 〜カレは年下幼馴染〜
そんな昔から、私はずっと涼に想われていたんだ。

私が優兄ちゃんを好きだったように、涼もずっと私を見てた。



…何で私、気付かなかったんだろう。


こんなに近くにいたのに、どうして気付いてあげられなかったんだろう。



私はいつもいつも、自分のことばっかりで……





「涼はああやって大人ぶってるけど、本当は影ですごい努力してる。

母さんたちが強制してるわけでもないのに、涼は自分でいつもやると決めてるんだ。

それなのにちゃんと、母さんたちのことも考えてる。僕よりもね。

本当、デキた弟だよ。
本当はきっと甘えたいだろうに…

不器用だからあまり表に出さないけど、そういう部分、“兄”の僕が分かってやらないとな」


そう言って優兄ちゃんは、照れくさそうに笑った。



「うん…涼はきっと優兄ちゃんの気持ち、ちゃんと分かってるよ。


優兄ちゃんは私にとっても、ずっと優しいお兄ちゃんだった。

お父さんが亡くなった時から、優兄ちゃんが居てくれたから私もお姉ちゃんも支えられたんだよ」



…本当は知っていた。



お姉ちゃんが、優兄ちゃんの前で泣いてたこと。


私の前ではいつも笑って、決して涙を見せなかったお姉ちゃんが、優兄ちゃんの前では泣いていたこと…。

優兄ちゃんが居てくれたから、お姉ちゃんはずっと笑顔でいられたんだよね。




「優兄ちゃん、これからはお姉ちゃんをよろしくね。


手のかかる姉だけど、優兄ちゃんがそばにいてくれるなら私も安心だよ」



私は、笑顔でそう言った。

心からそう言えた。



「咲…

咲は僕にとって、今も昔も本当に大事な“妹”だよ。

何かあれば、すぐに言うんだぞ。

僕じゃ頼りないかもしれないけど、咲のお兄ちゃんだからな」

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