Sugar × Spice 〜カレは年下幼馴染〜
「うん、ありがとう」
「ねぇ優ちゃん、ちょっと味見して」
その時、お姉ちゃんがキッチンからひょいと顔を出した。
「はいはい。味見じゃなくて毒味の間違いじゃないか?」
優兄ちゃんが立ち上がってキッチンへ向かう。
「ひどーい!旦那様好みの味にするのが、妻の役目でしょう!」
「旦那様かぁ…良い響きだなぁ」
そんな2人の様子を見て、私は思わず顔がほころんだ。
…優兄ちゃん、今までありがとう。
本当に本当に、大好きだったよ。
だけど、私はこれから自分の足で歩いてく。
自分の正直な想いで…
もう、逃げたりしない。
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「お姉ちゃん、すごく綺麗」
「本当ー?ありがとう」
結婚式当日。
控え室でウェディングドレス姿のお姉ちゃんを見て、私は思わず見とれてしまった。
「美菜子、体調は平気?」
「うん」
お母さんがお姉ちゃんの体を気遣う。
お姉ちゃんのお腹に宿った、新しい命。
君が、お姉ちゃんと優兄ちゃんの愛の証。
私はチャペルに移動して、参列席に座った。
私の手にはお父さんの写真。
お父さん、天国で見てる?
泣いていないかな…?
お父さん。
お姉ちゃんが、優兄ちゃんのところへお嫁に行くよ。
式が始まる。
チャペルの入口で、お母さんがお姉ちゃんのベールダウンを行った。
その時、お母さんとお姉ちゃんは目が合うと微笑みあい、
お母さんの目には、うっすらと涙が浮かんでいた。