Sugar × Spice 〜カレは年下幼馴染〜

そのまま、お姉ちゃんとお母さんは一緒に歩き出した。

亡くなった父親の代わりに、お母さんとバージンロードを歩くことが、お姉ちゃんの夢だったそうだ。


その先には、白いタキシード姿の優兄ちゃんが待っている。


お母さんがお姉ちゃんの腕を、優兄ちゃんに託した。



人前式という形で、2人は私たち参列者の前では永遠の愛を誓った。


優兄ちゃんがお姉ちゃんのベールをあげ、

2人はそっと、誓いのキスをする。



私の隣で、お母さんがそっと涙をぬぐった。






フラワーシャワーでチャペルを後にして、挙式は無事におわった。



「咲、はいこれ」

チャペルの外で、お姉ちゃんが私に持っていたブーケを差し出す。

参列者は親族だけだから、ブーケトスをすることもない。

独身女はどうせ私だけなのだから。


「咲にもいつか、絶対現れる。

絶対、幸せになれるよ。お姉ちゃんが保証する」


お姉ちゃんはそう言って、ニッコリと笑った。


「ありがとう…」


いつも、自分のことお姉ちゃんとか言わないくせに…


私の心配するくらいなら、もっとしっかりしてよね。







式も終わり、私は1人になりたくて中庭に出た。


お姉ちゃんからもらったブーケを見つめる。



「うっ……」


突然、涙が溢れた。



悲しいからじゃない。




これは、嬉し涙。





大好きな優兄ちゃん…


大好きなお姉ちゃん…




ずっとずっと、幸せでいてね。







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