Sugar × Spice 〜カレは年下幼馴染〜


「あーぁ、また泣いてんの?メイク台無しじゃん」

「りょ、涼?!」


突然、涼が目の前に現れて私は驚いた。

慌てて目をそらす。


「な、泣いてなんか…」



涼に泣き顔を見られたくなかった。

泣いてたら、私がまだ優兄ちゃんのことを好きだと思われる。


その時、涼がぐいっと私の体を抱き寄せる。


私は涼の胸に顔を埋めていた。


「な、なにする…」


「我慢するなよ。


泣きたかったら思いっきり泣けば?見ねえからさ」


頭の上で、涼がそう言った。

私は慌てて顔を離す。


「違うの…悲しくて泣いてたわけじゃない。

もう大丈夫だから…」

「あ、そ」


涼はちょっと拗ねたみたいだった。


スーツ姿で、いつもより大人っぽい涼。

チャペルに居た時から、ドキドキしてその姿を直視出来なかった。




「……涼、ごめんね。

私、涼のこといっぱい傷付けた。

本当にごめんなさい」


「なんだよ、急に…」


涼が不振なものでも見るように私を見た。



「私…知らなかった。ずっと、気付かなかった。


涼がずっと想ってくれてたなんて、信じられなかった…」




“咲ちゃん”



気付いたら涼は、いつも私のそばに居てくれた。


離れていったのは涼からじゃなくて、

先に大人になろうとした私の方なんだね。



「覚えてる?小さい頃、

涼が“大丈夫だよ、僕がずっとそばにいるよ”って、


私、その言葉がすごく嬉しかった。


すごく、心強かったの。ありがとう」



私はいつも、支えられてばかりだった。


優兄ちゃんだけじゃなく、


涼が私のそばにいてくれたから、救われてたんだね。


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