Sugar × Spice 〜カレは年下幼馴染〜





「……で?」




涼が横目で私を見て言った。


「え?でって…」


「“ありがとう”。

で、その続きは?」


「続きって…えと、その…」


私が言葉を探していると、涼は小さくため息をついた。



「…ったく、良いよもう。


その代わり、卒業祝いちょうだい」


「え…」


ふと顔を上げた瞬間…


涼の唇が、私の唇と重なる。



ほんの一瞬の出来事に、私は何が起こったのか分からなかった。






「…なに、そのマヌケな顔」


「え、だ、だって…」


マヌケと言う涼を怒るのも忘れるくらい、私はなにがなんだか分からなかった。


だって今、涼と…


私、人生で初めての……




「あと、大学入学祝い」



「!!」



そう言って、もう一度キスされた。



流石に私の頭も、意識がハッキリしてきた。




「ちょ、ちょっと」



暴れ出す私を押さえ込むように、涼が私の体をぎゅっと抱きしめた。





「好きだよ、咲。


これからは俺が、ずっそばにいる」



涼の言葉が、耳元で優しく響いた。


また、涙が出そうになる。


悲しいんじゃない。



私はずっと、この腕に守られてきたんだ。



そう思ったら嬉しくて…





この腕を離したくないと思った。









< 37 / 39 >

この作品をシェア

pagetop