Sugar × Spice 〜カレは年下幼馴染〜
姉の美菜子は昔からおっとりしていて、それを見て育った私は、自然と「私がしっかりしなきゃ」と思うようになった。
お父さんが亡くなってからは、尚更お母さんに甘えたりすることも出来なくなって、早く大人になってお母さんを支えることが私の目標となった。
「咲ちゃんはしっかりして偉いわね」
周りからそう言われて、嬉しかった。
だけど優兄ちゃんは…
優兄ちゃんだけはいつも、私のことを気にかけてくれた。
「無理してないか?」
「つらくないか?」
「咲は頑張りやだからな。無理してないか心配だよ」
そうやって、いつも私のことを心配してくれた。
大学卒業後、有名企業の営業マンとして働きだした優兄ちゃんは、4年前に家をでて会社の近くで一人暮らしを始めた。
だけど月に2回は帰ってきてくれて、変わらない笑顔を向けてくれる。
……そんな優兄ちゃんに、私はずっと片想いをしている。
優兄ちゃんが大好きで、
優兄ちゃんのお嫁さんになることが、私の子どもの頃からの夢だった。
「だから彼氏できないのよ、咲は」
「ちょっと、ミカ!声大きいよ!
あ、おはようございます」
受付で、出社する社員たちに笑顔を向ける下で、隣に座るミカをどついた。
「あんたはいっつも優兄ちゃん優兄ちゃんってね、
そんなに好きならとっとと告れっつーの」
「む、無理だよそんな〜。
私なんか、優兄ちゃんに釣り合わないもん…」