Sugar × Spice 〜カレは年下幼馴染〜
「うーさむっ」
仕事帰り。
会社を出ると、冬の夜の空気が肌を突き刺す。
吐く息が白く、夜空に溶け込んだ。
優兄ちゃんが帰ってきてるかもと思ったら、すぐにでも帰りたい。
私は足早に駅へと向かおうとした。
「高宮さん!」
その時、突然呼ばれて私は足を止める。
振り向くと、林田さんがこにらに向かって駆け足で近づいてきた。
「お疲れ様。高宮さん、今帰り?」
「お疲れ様です。はい、林田さんも今日はもう終わりですか?」
「珍しく早く片付いてさ。
良かったら一緒にメシでもどう?」
「えっ…」
私は驚いて言葉に詰まる。
今朝のミカの言葉を思い出して、心臓が早くなった。
「あ、あの、私…」
「俺、高宮さんともっと話してみたいって思ってたんだ。
あ、もしかして彼氏いる?なら2人っきりじゃマズイかな…」
「いえ、彼氏はいないんですけど」
「本当?じゃあイイじゃん!俺良い店知ってるからさ、行こうよ」
そう言って林田さんは、グイと私の腕を引っ張った。
「あ、あの林田さん…」
林田さんの勢いに圧倒されて、私は腕をほどくことが出来なかった。
どうしよう…!
断りたいのに…
帰りたいのに…