お姫さまになりたいのっ!
緊張が増していくのと同時に時間も過ぎていって、ついに当日。

控え室で台本の最終チェック。

「咲!」

誰かが私の名前を呼んだ。

声の主は…和輝。

「な、なに?」

顔が熱くなるのがわかる。

「お前、緊張しすぎ。

楽しめればいいんだよ。」

「だって…」

「じゃぁお前が演劇部に入った理由は?」

「え…?」

私が演劇部に入った理由は……

「『お姫さまになりたい』だろ?」

「あ…。」

忘れてた。なんで入部したか忘れてた。

子どもみたいな夢だけど、私の大切な夢。

「シンデレラってさ、お前にぴったりじゃね?

俺は王子って柄じゃないけどな。

だからな……その……楽しもうぜ!」

「うんっ!」

「和輝!咲!そろそろ準備してねっ!」

美羽が呼びに来たから、私たちは準備を始めた。
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