これは、恋じゃない。(完)
「…え!?日向くん、何でここに?鈴ちゃんは?」
「置いてきた。それより、平野急に出てくから」
う、やっぱり心配かけちゃってる…。
「きゅ、急じゃないよ?ほんとに私、帰らないといけないから…。だから、鈴ちゃんのところに戻ってあげて?ね?」
ふと髪の毛を触った瞬間、風が吹いてきて、なびく髪の毛を咄嗟に押さえる。
「……それも、嘘?」
「え?」
いつもとは違う日向くんの雰囲気に、少し驚いた。
「―――髪の毛。平野って、誤魔化す時、髪の毛触る癖あるから。昔から、変わんないよね」
「!……嘘…そ、そんなこと…」
私、そんな癖あるの?
知らなかった…!
っていうか、そんな癖、恥ずかしい…。