これは、恋じゃない。(完)
日向くんがクスッと笑みを浮かべる。
「…俺、平野が思ってる以上に、平野のこと見てると思うよ?伊達に何年も傍にいるわけじゃない」
「………?」
…どういう意味?
日向くんの言葉の意図がいまいち掴めなくて、反応できない。
「……さっきの続き。本音、教えてよ。好きな人、いるの?」
「…え……だ、だから………いない、よ…」
ぐっと手に力を入れて、髪の毛を触らないようにする。
「あんまり説得力ないけど」
そう言って、日向くんが私の手に触れる。
私はビクッと身体を揺らした。
日向くんの手に力がこもる。
「何か隠してるよね?…俺には言えないようなヤツが好きなの?」
「―――!」
……何?
この状況は…なに?