これは、恋じゃない。(完)
…日向くんの、気持ち?
もう、頭の中はパニック状態で、私は何も考えられなかった。
そんな私の様子に、苦笑しながら日向くんは言う。
「平野、落ち着いて聞いて?」
「―――…は、はい…。」
私は何故か敬語で頷く。
「うん。よし」
日向くんがふうと深呼吸をして、途端に笑顔が消えた。
「俺が好きなのは…平野だよ。…平野のことが好きだ」
「―――!」
私の目に映る日向くんは、今までに見たことがないくらい緊張しているようで。
私のことを真っ直ぐと見る、真剣な目。
私を…好き?
ホントに?
嘘…
だって…
「……何で、私なんか」
平凡だし、何の取り柄もないし、鈴ちゃんみたいに魅力があるわけでもないのに…。
「ただ好き、平野のそばにいたい、ってだけじゃダメ?」
日向くんの言葉に、私は首を横に振る。
「ダメじゃない…けど…っ!だって、信じられない…」