これは、恋じゃない。(完)
 

気付けば、私は頭を縦に何度も振っていて。


気持ちが自然と口に出ていた。


「……私もずっと…ずっと日向くんが好きだった…っ」


やっと、表に出せた気持ち。


言える日が来るなんて思ってもみなかった。


「――何、過去形?」


からかうように、クスリと日向くんが笑った。


何もかもがいっぱいいっぱいで、私はその言葉に慌てて首を横に振った。


「今も…これからも好き…!」


真面目に答えてしまった私の言葉に驚いたみたいで、日向くんは目を真ん丸にしていた。


そして、口元に手を当ててククッと笑い、口を開いた。


「うん、俺も同じ。…ずっと美里が好きだよ。……同じ気持ちを持てるって…こんなに嬉しいんだね」


日向くんが照れたように笑った。


……同じ気持ち。


その言葉と表情に、本当に信じていいんだ、って思った。


「…うん…!」


自然に笑顔が出た。

 
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