これは、恋じゃない。(完)
「あ。」
何かを思い出したように、日向くんの足がピタッと止まった。
「え?」
私も慌てて足を止める。
日向くんが周りをキョロキョロと見渡す。
「じゃあ、うん。人いないし」
腕を引っ張られたと思うと、目の前には日向くんの顔。
「――んんっ!?」
そして、すぐに、いつも通る道が視界に広がる。
「な…っ!?」
何した!?今!
私は自由な方の手で、口元を押さえる。
か、感触が!
「うん。ちょっとは現実味帯びたかな。もっとしたいけど、今は我慢しなきゃね?」
なんて言って、飄々としてにっこりと笑う日向くん。
「~~~~っ!」
私は言葉が出ない。
顔がどんどん熱くなるだけ。