これは、恋じゃない。(完)
「告白、しようと思って。その前に美里に言いたかったの」
鈴ちゃんの真剣な目。
「――そう…なんだね」
もちろん私の気持ちは言わなかった。
だって、二人の間に入る隙間なんて、あるはずない。
こんなにもお似合いの二人だから。
だから応援しようって思った。
「――うん!鈴ちゃんと日向くん、お似合いだと思う!叶うといいね」
できるだけ、明るく振る舞った…つもり。
ちゃんと笑顔、作れてるよね?
「美里…」
大丈夫。
まだ引き返せる。
この小さな気持ちを封印してしまえばいいだけ。
これは、恋なんかじゃない。
大好きな鈴ちゃんの恋を、応援するんだ。
「…ありがとう」
「ううん!頑張れっ」
そう言って、笑顔で鈴ちゃんにガッツポーズを向けた。
――それから1週間後、鈴ちゃんから『付き合うことになったよ』って言葉を聞いた。