シアワセの意味
ーーー…
次の日。
明らかに咲菜ちゃんの様子はおかしかった。
昨日、智菜ちゃんが部屋に行っても咲菜ちゃんは返事は
するものの、部屋には入れてくれなかったらしい。
「何かあったのかなあ…」
「うん…」
あんな短い間に何があったんだろ。
私の勘違いかもしれないけど、何だか目がちょっと赤く
腫れている気がした。
…泣いたのかな?
泣いたりしないと、あんな赤く腫れないよ。
ナチュラルメイクの咲菜ちゃんがいつもより、メイクを
濃いめにしててびっくりしたけど、そんな濃いめでも
目の腫れは隠しきれてなかった。
智菜ちゃんにすら話してないなんて。
咲菜ちゃんが一番信頼してるのは確実に智菜ちゃん。
二人は小学4年生から一緒で、鈴堂学園に来たのは中等部のとき。
そのとき、ほんとに仲良いんだなって思った。
二人はいつも二人でいたから。
「智菜、ちょっと聞いてみろって」
「それが出来ないから今悩んでんじゃん、馬鹿光介!」
咲菜ちゃん…一体どうしたんだろ。
何があっても、咲菜ちゃんはいつも笑顔なのに。
「咲菜も色々抱えてるもんなあ…」
言いにくかったりするの、かな、咲菜ちゃん…。