シアワセの意味
咲菜ちゃんがもう一度、彼を見たそのとき…彼は
ものすごく冷たい目をしていた。
そして写真を手渡すと、彼はさっさとその場を
離れようとした。
だけど、咲菜ちゃんはどうしても聞きたいことがあり
勇気を振り絞って彼のブレザーを掴み、
「沙耶姉は元気なの?」と笑顔で聞いた。
でも、今思えばそれが間違いで。
彼は更に冷たい眼差しを咲菜ちゃんに向けた。
…でも、少し寂しい目をしてるようにも見えた。
咲菜ちゃんは首を傾げた。
そして、彼は言った。
「沙耶は……いないよ。沙耶はもう…
いないんだよ…っ!!!」
頭が真っ白になった。
ブレザーを掴んでいた咲菜ちゃんの手を振り払い、
彼は涙を堪えていた。
「沙耶姉が…いない…?死んじゃったってこと…?
だから手紙も来なくなったの?ねえ…ねえっ!
何で?どうしてっ!?」
「手紙来なくなったのいつだよ…」
「中2の…春…」
「その時から沙耶は入院し始めたんだよ。そんで…その年の
冬に…沙耶は…っ」