彼が残した物
穂乃華さんはとても明るくて面白い子だった。

帰ってる途中で急にものまねしたりする子で、帰りはとても楽しかった。

「ただいまぁ」

そう言っても帰ってくる声はない。

いつも、家には誰もいない。

お母さんは仕事で夜まで帰ってはこない。

妹は危ないから、とお母さんが夜まで幼稚園で預かってもらうようにしてる。

お兄ちゃんは友達と遊んでいるのだろう。

お父さんは単身赴任で、今はアメリカにいる。

今の時刻は5時15分。

そろそろ神君から電話が来る。

そう思った矢先、家の電話がなった。

プルルルルルルル・・・。

「はい、もしもし。」

『ぁ、漓罹華??俺だよ。ちょっと早かったな。今大丈夫だったか??』

「うん、大丈夫だよ。」

『で、話そうと思ってた事って何だ??』

「えっとぉ・・・。そのね、神君に聞きたいことがあったの。」

『ふーん。で、聞きたいことって??』

ついに聞くんだ。

1年間聞きたかったことを。
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