心恋ふ

「た、隊長？」

「顔が真っ青ですよ!?」

もう、ちょっと、みんな、

「み、みずを頂戴」

誰でもいいから水！

僕の力ない声に、井戸の近くにいた隊士は急いで僕に水を渡してきた


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隊士を井戸から退け、一人になると同時に出た言葉は

「毒でも盛ろうかな」

たぶん、きっと、絶対に
本心だったと思う。いや、それ以外に考えられない。


漸く吐き気に打ち勝った僕は、土方さんに文句の一つでも言ってやろうと先程いた場所に戻ると

「テメェ神ってもんは見えねぇもんだろうが！」

「だからね？土方歳三。
今回は稀にある試験だから来てんですよこんやろぉ」

「だいたい何で何から何まで
怪しいテメェが俺の名を知ってんだよ！」

「うっせぇですぞ、チキンが。
俺は神様なんだよ、何でも知ってんだよ」

「(ち？血金？)…だったらここがどうなるか教えろってんだ！」

「だーかーらー！神にだって掟があるんですっげぇムカつく野郎認定クソ土方歳三。いや、土方」

「あﾞぁ!？んだとおらァ！」


土方さんと、先程の天から降ってきた少年が言い合いをしていた。

あー…、美男子の土方さんに
負けず劣らず顔は整ってるな。

まあ、僕には関係ないんだけどね。


ふと少年の背後に

「……猫？」

猫が見えた…気がした。

うん。気がしただけだね、うん。
人さえも潰せるでしょ、ってくらいの猫なんて存在するわけないよ。


（疲れてるのかなー…部屋に戻ろ）

目頭を押さえながら己の部屋に行こうとするが


一瞬。

少年と目があった気がした。