心恋ふ
俺の焦りが感じ取れたのか何なのか。
総司は俺の指差す方向に視線を辿らすと……
「……最近は人も鳥みたいに空を飛べるようになったんだ」
なんて、陽気な声で呟いた。
へー…そんなことが
出来るようになったんだな。
………なんて
「考えられるわけねェだろぉォォオオ!」
地面に倒れていた身体を叫びながら起こし、
俺を無視して天に向かって手を降ってる総司の肩を掴むと
「お、おい総司。本当にあれ人なんだよな?」
「ちょ、土方さ、ん僕、し…死ぬから、手をはな…ウップ」
全力で前後左右に揺らした。
勿論、そこら辺の女より白い総司の顔色は、白いを通り越して蒼白くなり口元を手で押さえ……
「あ、わりぃ」
漸く我に返った俺が総司の肩を離すと、総司はいつもより機敏な動きで井戸方面に姿を消していった。
ほんとにわりぃことしちまったな…… でも今は天から降って来てる人を……
ってそうだ! 人!!
勢いよく顔を天に上げると、確実に先程よりも近くなっており、そして俺でも人ってぇのが確認できる距離になってた。
人を呼んだ方がいいのか?
いや、今からじゃ間に合わねぇよな
それじゃああれか? 俺が受け止めるか?
いや、そんなの不可能だろ
今まで色んな事態は慌てることなく対処してきたが、天から人が落ちてくる。 そんなことは生まれて初めての体験。
しかもそんな事態を聞いたこともなければ見たことも……って今見てるか。
って一人で俺何言ってんだろ……
どうのこうのしているうちに、
いつのまにか人はかなり近くにいた。
これじゃあぶねぇ!
身体が動いた瞬間、
天から降ってきてる人は体位を変えた。