北向きの枕【迷信ナあれこれ】

原因と結果

 「それで、なんでこんな事になったんだ」
 玄関のカギを開けようとしている小岩井は死んだ魚の様な目で呟く。
 「話聞いてなかったのかよ」
 「小ちゃんの命が危ないんだよ!?」
 すぐ背後で扉が開くのを待っている大橋と小池がそう言う。
 「そうだよ。命に関わるんだよ」
 「多分ね」
 さらにその後ろで待っている歌舞伎沢兄妹もそう言って頷く。
 「いや、意味わかんないし。特に、そこの歌舞伎沢姓の奴らは家には絶対上げないとこないだ決めたんだけど」
 淡々と小岩井は考えを述べるが、誰も彼の話など聞いていない様子だ。
 「いいから、開けろ」
 大橋は勝手に小岩井の手を勝手に動かして、玄関を開けさせた。
 一番に家に入ったのは小池で「いらっしゃいませー いつも息子がお世話になってます」等と言って他の面々を招き入れる。
 「はいはい。お世話してます」
 「右に同じくー」
 「本当に迷惑ばかり掛けてくれるからね」
 三者三様に文句こぼしながら玄関を上がる。
 「それで、小ちゃんのお部屋どこー」
 「他の部屋は開けんなよ。ある意味危ないから」
 大橋の案内で勝手に家の奥に進む。
 「おい! 話聞けよ!!」
 今にも泣きだしそうに叫ぶ小岩井の声を聞いてくれる人物はやはり誰もいなかった。
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