あいりちゃんとの生活
地震怖い
仕事から帰ってくると、廊下とリビングの明かりがついている。というのは、藍璃ちゃんが気を利かせてつけていてくれているわけではなくて、彼女がものぐさで電気を消すのを忘れて寝てしまっているからだ。別にいいんだけど、次の月に電気代請求の紙を見て毎回腰を抜かすのはいい加減やめてほしい。
「ただいま」
誰もいないと分かっていても、明かりがついていると思わず呟いてしまう。
「ひろとくん……」
「うわっ!?」
どこから声がしたのかと思えば、テーブルの下だ。涙の痕が残った顔で、藍璃ちゃんは幽霊のように這い出してきた。髪や服が乱れている様子はないから、酷い目に遭わされたということではないらしい。テーブルの上には手つかずの夕飯が二人分並べられている。俺を待っていたということではないだろう。いつもそういうことはしないからだ。
「どうしたの、藍璃ちゃん」
とりあえずしゃがんで彼女と目線を合わせる。
「今夜、7時28分、地震がありました」
国営放送のアナウンサーの口上だ。よく耳にする。
「え? あった? 分かんなかったなあ」
「ホントに? 震度4だよ。緊急地震速報も鳴ったし! 怖かった」
「夢じゃないの? 会社全然揺れなかったけど」
気付かないにしては震度が大きすぎる。震度4なんていったら、外を歩いていても気付くくらいには揺れるはずだ。
「夢じゃない! だって、NHKのお兄さんが言ってたもん」
そう言って、藍璃ちゃんはリモコンを操作する。ぱち、と音がして段々と画面が明らんできた。
「では、地震のニュースです。今夜7時28分、地震がありました。各地の震度は次の通りです」
タイミング良く流れる地震のニュースに聞き入る。
「……震度4、東京都23区、東京都多摩東部、千葉県北西部、埼玉県南部」
本当に震度4だ。俺の会社は東京都23区、ここは東京都多摩東部にあたる。どちらも震度4だから、ここが揺れたということは俺の会社も揺れていないとおかしい。これはどういうことだろうか。
「ただいま」
誰もいないと分かっていても、明かりがついていると思わず呟いてしまう。
「ひろとくん……」
「うわっ!?」
どこから声がしたのかと思えば、テーブルの下だ。涙の痕が残った顔で、藍璃ちゃんは幽霊のように這い出してきた。髪や服が乱れている様子はないから、酷い目に遭わされたということではないらしい。テーブルの上には手つかずの夕飯が二人分並べられている。俺を待っていたということではないだろう。いつもそういうことはしないからだ。
「どうしたの、藍璃ちゃん」
とりあえずしゃがんで彼女と目線を合わせる。
「今夜、7時28分、地震がありました」
国営放送のアナウンサーの口上だ。よく耳にする。
「え? あった? 分かんなかったなあ」
「ホントに? 震度4だよ。緊急地震速報も鳴ったし! 怖かった」
「夢じゃないの? 会社全然揺れなかったけど」
気付かないにしては震度が大きすぎる。震度4なんていったら、外を歩いていても気付くくらいには揺れるはずだ。
「夢じゃない! だって、NHKのお兄さんが言ってたもん」
そう言って、藍璃ちゃんはリモコンを操作する。ぱち、と音がして段々と画面が明らんできた。
「では、地震のニュースです。今夜7時28分、地震がありました。各地の震度は次の通りです」
タイミング良く流れる地震のニュースに聞き入る。
「……震度4、東京都23区、東京都多摩東部、千葉県北西部、埼玉県南部」
本当に震度4だ。俺の会社は東京都23区、ここは東京都多摩東部にあたる。どちらも震度4だから、ここが揺れたということは俺の会社も揺れていないとおかしい。これはどういうことだろうか。