だから、笑わないで。
俺は体育館通路を歩きながら、色々なことを考えていた。
ふたりとも制服だったから、待ち合わせでもしていたのだろうか。
レンは優しいから、誘われたら断れないだろう。
それに、泣きながら抱きしめて、なんて言われたら断れるわけがない。
きっとレンは、あの彼女を―…
考えたくない展開に俺は頭をふった。
やっと自動販売機にたどり着いたとき、憂が下駄箱にいた。
ブルマー姿に、ルーズソックスということは、体育に出ていたのだろう。
だもなぜ、ここにいるんだ…?
「……憂?こんなとこでなにしてんの?」
俺が声をかけると、憂はゆっくり振り向いた。
「………う……い…」
「―…リンく…ん…」
振り向いた憂は涙をながし、全身が濡れていた。