だから、笑わないで。




「………あの、それで…憂の退院の日いつになりそうですか?」



リンは前のめりになりながら聞いた。
その質問にちょっと悲しそうにうつむいた憂の母親。



「………?…おばさん…?」
「…あ、なんでもないのよ?このままいけばもうすぐ退院できると思うわ」



憂の母親はすこし寂しそうに笑った。
リンはその異変に気付いたが、杏子の前では言うことができない。




「……そうですか…よかった」




杏子はほっとした笑顔を見せた。



「…………………」
「……………リンくん?」
「…………ああ…なんでもないよ。あ、じゃあまた家遊びにいきます」
「そうね。リンくん、また遊びに来てね!杏子ちゃんも!ケーキありがとう」
「いえ。では」
「失礼します」



リンと杏子は病院をでて、電車に乗った。
リンは杏子を送り届けると、また病院に戻る。






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