だから、笑わないで。
憂の病室によってみたが、憂の母親の姿はない。
憂は気持ちよさそうに眠っていた。
「……………………」
リンはその寝顔をしばらくみつめた。
そしてベッドに近付くと、憂の髪をなでた。
サラサラの長い髪。
この髪に、レンは毎日指を通しているのだろう、と思うとリンは罪悪感で一杯になりベッドから離れた。
待ち合い室を覗いてみるが、いない。
仕方なくリンは憂の家へ向かった。
笑原家から五分程度だ。
その道を走って向かう。
汗だくになりながら家のまえにつくと、リンはインターホンを押した。
《はい…ってリンくん?》
「あっ…はい。早速用があって…」
《ちょっとまってて。今あけるわ》
「すみません。お願いします」
ぷつっというおとの数秒後、ドアが開いた。