だから、笑わないで。




そもそも、なぜこのはなしを持ち出したのか、その意図と意味もリンにはさっぱりわからない。



「…まってよ…どうしたんですか…おばさん…レンと憂が付き合うことは関係ないじゃないですか」
「……わたしはしってるのよ!!憂とレンくんが別れたことくらい!!」




え?レンと憂が別れた?



リンの思考回路は停止して、頭が真っ白になった。
ただただ、ボーッとつったっている。



「だからわたしはレンくんが憎い!憎い憎い憎い憎い!!……でも…わかってるの…レンくんは…なにも悪くないこと…いつかはこうなること……わたしが一番わかっていたはずなのに」



憂の母親は取り乱したあと、エプロンからハンカチを取り出して涙をふいた。
リンは無意識に携帯を取り出してレンにかけていた。
でも、コール音はいつまでも虚しく鳴り響くだけだった―…





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