だから、笑わないで。



帰り道、リンはどうやって帰ったのか覚えていない。
気付いたら家にいたのだ。


レンの姿はみえない。


リンのなかの疑問がつながった瞬間だった。
入院中、リンは憂のお見舞いをレンと一緒にいったことがなかった。
誘ったら断られたのだ。


でもリンは、ふたりでいたいのだろうと思い、そこまできにとめていなかった。


だけど、もしかして、レンと憂がもうすでに別れていて、一回もお見舞いに行っていないとしたら?
憂がパニックになった原因は、レンとの別れだったとしたら?



憂のすべてはレンだったのだ。
どっちにしろ、リンには辛いだけだった。


レンと憂が別れてないにしろ、別れたにしろ、憂はレンのせいでパニックになったことはほぼ確定だろう。


パニックになったことイコール憂のすべてはレンということになる。
憂の脳は心が壊れるまえに、パニックになったのだ。




それが憂の最大の防御だった。





< 105 / 194 >

この作品をシェア

pagetop