だから、笑わないで。





「おい、レン。なんで俺を避けるんだよ」
「…………………」



リンはレンの腕を掴む。
ここのところ、レンは家に帰ってこない。
帰ってきても部屋に閉じこもり、朝はリンより早く出る。




「…………理由、言えよ。聞く権利、あるよな?」
「…………………」



いつまでも黙ったままのレンにリンは続ける。



「……………………憂のことも……」
「うるせえ!」
「!」
「教えてやるよ!お前にそうやって聞かれんのがやだったんだ!!いちいち報告しなきゃいけないのか?!言いたくないことなんて誰にだってあるだろ!!」




レンは目を見開き、学校全体に伝わるように怒鳴った。
リンは固まったまま動けない。



「お前はいつもそうだよ!」
「…………レン……なんでそんなに別れたくないなら、憂と別れたんだ……何か理由が…………」
「…………つ!……飽きた。つーか他に好きな女ができたんだ」



レンは急に落ち着いた態度になり、冷めた表情になっていった。





< 110 / 194 >

この作品をシェア

pagetop