だから、笑わないで。



リンは無表情のまま、その場を去った。
思うことはただひとつ、憂になんて説明しようだった。
憂の笑顔を曇らせたくない、笑っていてほしい、リンの思いはあの頃のままなのだ。




「リンくんっ」



その声にリンは肩をビクつかせる。



「…………憂」
「どーしたの?そんな顔して」




無邪気に心配してくる憂の顔。
リンの胸は痛んだ。





一方杏子はリンとレンが空き教室で話しているのを聞いてしまっていた。
杏子は込み上げる怒りをおさえながら、レンのいる教室にいそぐ。
授業直前だったため、レンは教室にいた。




「………杏子?どうしたんだよ?」




杏子に気付いたレンは心配そうに近付いてくる。
レンの表情は優しいままだった。




「…はなしがあるの!」
「はなし?わかったよ。おい、サトシ。次サボるからよろしくー」
「またかよ?!お前最近サボりだろ!!」
「頼んだぞ」




心配そうに言うサトシを笑ってあしらうと、いこう杏子、と言ってレンは屋上に向かって歩き始めた。





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