だから、笑わないで。
杏子は一歩さがりながら、負けじと怒鳴る。
「ちがう!!」
「………そんなもんだろ、友情って。結局は自分が一番可愛い………わかってんだよ」
杏子の長い髪と、レンの明るい髪がバサバサと揺れる。
雨は、今にも降りだしそうだった。
「………もういいよ…めんどくさいし。憂はもう……飽きたんだよ」
「…………っ!」
杏子は思わず手を挙げると、そのまま思いっきり降りおろした。
パンッと乾いた音がなって、レンの頬に直撃する。
「…………?!…杏子……!!」
杏子を探しに来ていたリンが扉からいきなりでてきてレンをかばった。
「……杏子…!やりすぎ…!」
「どいて!離して離して離して!!」
杏子は涙をボロボロとこぼしながら、我を忘れたようにレンにとびかかろうとする。
かろうじてリンがとめていると、杏子はリンの胸を何度も殴った。