だから、笑わないで。
杏子は止めるリンと、我を忘れたように叫ぶ杏子。
頬を殴られ、手でおさえるレン。
その時、派手なおとをたてて扉が開いた。
「ねーねー!レーンっ♪……ってレン?!」
彼女の上村美亜だった。
美亜は倒れているレンをみて駆け寄った。
「痛む?レン?どうしたの?」
「………全然大丈夫だから」
「……っ…あなたたち…レンに何したの?!ねえ、謝ってよ!!」
美亜はリンと杏子のほうに振りかえると、レンを抱き締めながら言った。
するとさっきまで狂ったように泣きじゃくり、叫び、殴っていた杏子が糸が切れたように冷めた声で言った。
「その女……だれよ…」
「はあ?あたし、レンの彼女だよ!」
「……まさか…レンくんがこんな女選ぶわけないじゃない…」
「なに、この杏子ちゃん!いつもと全然違うじゃん!!」
「………離れて!レンくんは、憂と付き合ってるのよ!あんた離れてよ!!」
「…………レンくんはあたしを選んだの。そういうことは言うべきじゃない」
美亜は冷静に言うと、レンをもう一度抱き締めた。
その瞬間、雨が振りだした…