だから、笑わないで。




バタン、と後ろでしまる扉。
目の前はどしゃ降りの雨。
そこにいる、四人の影。



あたしはどしゃ降りのなか、傘をさすのも忘れて目の前の光景に見いっていた。




「憂………!」




あたしよりベタベタなリンくんが真っ先に声をあげたのを覚えてる。




「………憂…」



そして、雨で濡れているからそうおも
ったのか泣いてるレンくんの声と表情が目にはいった。




となりには、まぶしいくらいの髪色をした可愛らしい女の子もいた。
レンくんの腰に手を回してた。




「……あ……たし……傘…もってきたの…振りだしそう だった から……あ…の…ふたつしか…なく……て…だから……」




あたしは折り畳み傘と普通の傘をおもむろにどしゃ降りの地面におくと、ベタベタの制服のまま屋上を出た。





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