だから、笑わないで。



「………憂!」



すぐリンくんが追いかけてきて、あたしを抱き締めた。




「………憂……っ」



あたしはくるしくないのに、リンくんはくるしそうに、かなしそうに、切なそうに、あたしを抱き締める。
お互いのからだが冷たくなっていく気がした。




「………リンくん……あたし…平気……でもね…リンくん……悲しそう…だからあたしも……」
「憂は俺にいったよね……俺が悲しいと憂も悲しい。でも…俺も、憂がむりすると、俺も悲しい。なんのために…俺がいると思ってんの」




リンくんはやっぱりかなしそうに微笑んだ。
そしてあたしをもう一度包み込んだ。
その温かさに涙が出た。




泣きじゃくるあたしを、リンくんは保健室に連れていってくれた。





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