だから、笑わないで。
リンくんはあたしをベッドに座らせると、冷蔵庫から飲み物を出した。
「あったかいほうがいいかな」
そういって鍋で飲み物をあっためてからあたしにくれた。
「ありがとう…」
「全然!そいや、前もこんなことあったよね。これって運命?」
リンくんは珍しく冗談を言いながらクスクスと笑った。
むりしてるんだな、ってあたしは分かったから無理矢理笑顔作った。
「…ほんとだね…あたし、リンくんに泣き顔見られてばっかだね」
あたしはホットレモンティーを両手で包むとうつむいた。
「…………まあそれが俺の特権だと思ってるけど」
「………え…?」
「………俺の前では素直になってくれるの、嬉しいよ?」
やっぱりリンくんは優しい。
上手にあたしを傷付けないように、しゃべってくれる。
「………ぁは…ありがと」
あたしが少し笑って言うと、リンくんは急に真面目な顔になって近付いてくる。
「…………リンくん…?」
「…………」
リンくんは黙ってあたしに近付くとおもむろにあたしの目を覆った。
目の前は真っ暗。
リンくんの気配だけが感じとれる。
リンくんの動く気配がした。
リンくんのどこかから落ちた冷たい雨のしずくがあたしの唇の横に落ちた。