だから、笑わないで。
憂の意識がなくなってから数分後、リンが走ってやって来た。
杏子はその場に座り込み、憂を抱きしめながら震えていた。
「杏子……っ」
「り………く…」
「憂!憂!!」
リンは憂を揺さぶるが返事はない。
だが息はしていた。
ほっとしながらリンはそのときの状況を落ち着いて聞き始めた。
「……そっか……たぶんそれはパニック症候群の過呼吸だよ」
「………え…?」
杏子はハンカチで口をおさえながらそうきくのが精一杯だった。
「…………パニック症候群のことについて……調べたんだ……なんでもいいから情報がほしくて。そしたらこれも出てた……ファイルにとめてあるからみといて。一応病院連れてこ」
リンはテキパキとファイルを渡し、憂を背負うと杏子の手を握った。
「……怖かったろ…ごめんな…」
「……あ……っ!」
「……………一人にさせて…ごめん…」
リンのせりふは、杏子と憂、両方にいっているように聞こえた。