だから、笑わないで。
おそるおそる目を開けると、リンくんは優しい笑顔でこちらを見ていた。
キスをされると思っていたあたしはさらに真っ赤になってうつむいた。
リンくんはキスをせず、変わりにあたしをぎゅっと抱き締めた。
「…………リンくん……?」
「………ごめん………ごめんな憂……」
リンくんの表情はここから見えない。
だけど、リンくんはあたしに触れる度くるしそうな声を出す。
どうして…どうして謝るの?
あなたはなにもしてないじゃない。
「……なんで……あやまるの…?」
「…………」
それには答えずにリンくんはしばらくあたしを抱き締めたあと、かなしそうな笑顔をみせた。
「………帰るね」