だから、笑わないで。
―第十三章―レンside
「レンっ、おはよーっ!」
「おは…」
俺のもとへ走ってくる美亜の姿と憂の姿が重なった。
「あっついねー!」
俺のもとへ追い付いた美亜は俺の腕をとった。
密着する俺と美亜。
「えへへー」
ぎゅっと嬉しそうに美亜は俺のもとへうでをにぎった。
俺も美亜に向かって微笑む。
一緒に下駄箱へ行くと、見覚えのある姿が目に入る。
「…………レン」
リンだった。
「……リン久しぶりだな。どけよ」
俺はあえて冷たく言う。
リンは冷めた声でごめん、と言うと美亜には触れずにさっさと階段をのぼっていった。
「………?…」
「レンっ、いこおー」
「あっ、うん…」
俺は疑問を感じつつも美亜を教室まで送り、自分の教室へいく。
となりのクラスをちらりとみると、今日も可愛らしい憂の姿が目にはいった。
言えない気持ちを抱えたまま、俺は自分の教室へ入った。