だから、笑わないで。
「きゃあ…」
俺は腕に絡み付いていた美亜を振り払い、一人で歩き出す。
「レン、どーしたの…」
それも無視して俺は一気に体育館裏まで歩いた。
そしてさっさと弁当を広げて食べ出す。
「レン……はやいよ…!」
やっと追い付いた美亜は俺にくっついた。
「いちいちくっつくなよ」
「…………え?」
自分でも恐ろしい声がでたと思った。
美亜は目を見開いたまま、俺をみる。
「……さっきの子、お前を見てたわけじゃないかもしれない。なんでああいうふうに言うんだ」
「…だってキモかったし」
「人の容姿をそんな風に簡単にキモいとか言うな!普通…」
そこで俺は気付いた。
俺は、誰と比べている?
言わなくても、考えなくても、わかる。
…憂だ。
憂は絶対人をばかにしたりしない。
容姿をからかわない。
誰にでも優しくできる、優しい心を持っている。
「…………ごめん…レンんんー」
俺はよほど怖いかおをしていたのか、美亜は泣き出した。
「なおすから…ごめんね…嫌いにならないで」
「………ごめん…美亜」
俺は美亜を抱きしめた。
美亜は悪くない。
重ねてしまった俺がわるいんだ。