だから、笑わないで。




後ろを振り向くと、リンが笑っていた。




「………え?」
「ちょっと付き合って!」




リンは俺のてをひくと、無理矢理駅まで連れていった。




「おいっリン!」
「たまにはいいじゃん」




リンは俺の言葉を一切無視して、電車のなかは一言もしゃべらなかった。



行き着いた先は海。
もう夕日が沈みかけていた。




「………うおー」




珍しくリンは感情を顔に出した。
リンはくつと靴下をぬぐと海へ入る。
リンは笑っていた。
楽しそうだ。
俺はというとまったく楽しい気持ちにならない。
あんな風には、笑えない。
身も、心もボロボロだ。




でも、お前らも、耐えてきた傷だから俺も堪えるよ。




「レンも入れよ」
「俺はいい」
「入れって」




リンはそういうと俺のうでをつかみ、そのまま海へいれた。





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