だから、笑わないで。





憂はレンから目をそらすと、バレーボールに集中をする。



「憂、いったよ!」



その掛け声とともに憂はジャンプをした。
めずらしくアタックがきまる。
わあっと歓声があがった。


「憂、すごいじゃん!」
「めぐ!まぐれだから…」



憂は照れたように笑った。
そんな彼女をレンもまたみていた。
憂は笑っていた。
レンがいなくても、笑えるようになっていた。


それは大きな進歩で。
すこしまえまで壊れるくらい泣いていたのにいまは笑う。
それはうれしいことなのか悲しいことなのかレンにはわからなかった。
でも自分から突き放したのにこんなこと考えてはいけない、それだけはわかっていた。





キーンコーンカーンコーン…






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