だから、笑わないで。
たたたっ…
「リンくん!」
こんなに早起きしたのは、いつぶりだろ?
あたしは大きな紙袋を片手に、リンくんのところへ走っていった。
「………憂…」
可憐に振り返ったリンくんは何回見ても綺麗。
男からみてもかっこいいのだろうか。
リンくんとレンくんはタイプこそちがうものの、やっぱりどこか似ている。
顔の美形さとか、趣味とか、体つきかね。
「これ…っ、ありがとう…っ」
ついきのうかりたばかりのカーディガンの入った袋をわたしながら、お礼をいった。
「………ああ…別にいそがなくてもよかったのに」
リンくんは美しく微笑んで言う。
「……ほんとうにたすかったの…!」
あたしが笑顔で言うと、リンくんは一瞬下を向き、顔をあげると笑ってくれた。
「…………ぜんぜん」
リンくんは笑ったけど、中学生から彼はほんとうの笑顔でなくなった。
前までは、ほんとうに嬉しそうにわらっていたのに…
「………リンくん…ずっと前から気になってたんだけど…」
あたしが言うと、ん?って感じでリンくんがみる。
一呼吸おくと、あたしは言った。
「……どうしてそんな風に笑うの…?」
言った瞬間、時間が止まったような気がした。
それくらい、ピタッとリンくんの動きが止まった。