だから、笑わないで。
だけど次の瞬間、それは嘘だったかのようにリンくんは笑った。
「え?なにそれ…笑ってるよ?」
リンくんはクスクス笑いながら廊下を歩く。
「……そういうの」
「…ん?」
「…………そういうのだよ…」
「………」
あたしが言うとリンくんは笑うのをやめて、あたしをみる。
中学のころはあんなに楽しそうに笑っていたのに…
あたしは中学時代を思い出す。
中1のあたしたちは恋愛とかそんなの全然なくて、ただ単純にレンくんとリンくんと一緒にいるのがよくて一緒にいた。
中1のバレンタイン、あたしはいつも通りふたりにチョコレートを渡した。
そのときは、リンくんもほんとの笑顔だった。